四畳半の秘密基地

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「一汁一菜でよいという提案」を読んだ

久しぶりにこれは良書!という本に出会えたので備忘録として書き残しておこうと思います。
土井善晴さんの「一汁一菜でよいという提案」という本です。
自分は土日にご飯を作ることが多いのですが、より美味しい料理を作りたいという考えで料理をしていると、料理が辛くなってくる時があります。
そんな時にこの本を読んで肩の力が抜けました。もっと力を抜いてもいいんじゃないかと思わせてくれる本でした。

個人的に良かったところ

一汁一菜のシンプルさ

日本では昔からハレの日とケの日という考え方があります。
ハレの日=特別な日で、豪華な料理を食べる日です。それに対してケの日=日常とされ、日頃食べているご飯のことを言います。
本書ではケの日に食べる食事として一汁一菜を提案しています。
一汁一菜とは具体的には、ご飯・味噌汁・漬物で構成される食事のことです。
この一汁一菜という型がシンプルかつ栄養バランスを考える事ができてとても気に入りました。
例えば、タンパク質が足りないと思ったら、味噌汁に卵や豆腐や肉を加えたり、ご飯に納豆や鶏そぼろをかけて補います。カルシウムが足りないと思ったら、味噌汁に煮干しを加えたりします。
おかずをいくつも準備しないでも一汁一菜で健康的な料理が作れるという手軽さが良いです。

味噌汁の多彩さ

本書には一汁一菜の例として写真が多く掲載されていますが、そこに出てくる味噌汁の具が多彩で目から鱗でした。
ブロッコリーやベーコン、こんにゃくなど普段我が家では味噌汁には入れない具材がいろいろ使われていました。
味噌汁とはこういうものという先入観で味噌汁の幅を狭めていたと痛感しました。
料理ってもっと自由でいいのかもしれないですね。

日本食の歴史・文化が知れる

本書では一汁一菜がなぜいいのかという理由づけの一環で日本食の歴史にも触れています。
縄文時代の食事や戦後から今に至るまでの家庭料理の変遷が記述されており、当時の慣習など知ることができます。
その中で「属人器」という概念が個人的には興味深く感じました。
属人器というのは特定の個人専用の食器のことで、日本では割と一般的な考え方だと思います。
夫婦茶碗と言うように夫専用、妻専用の食器という考え方は古くからあったはずです。
が、それは世界的には一般的ではなく日本とアジアの一部の国でしか見られない文化らしいです。
本書では属人器は毎日使うものなので良いものを使いましょうと書かれており全くその通りだと思いました。
我が家は茶碗・箸・コップは自分専用のものが存在しますが、自分自身コップしか拘っていないことに気がつきました。
毎日使うものを見直すことをはより良い人生につながると思うので、茶碗や箸も見直してみようかと思いました。

まとめ

良かったところをいろいろと書いてみたのですが、本書の芯を捉えられていない気がしています。
おそらく本書には先に述べた部分的な良さと全体通して感じる良さがあり、後者の感想を書けていないからかもしれません。
軽く書いてみようと思います。
後者の全体を通して感じる良さは、資本主義から一歩距離を置いて一汁一菜の素晴らしさを説いているところにあるのではないかと考えます。
節約料理としての一汁一菜のような大衆ウケする切り口もあったかと思いますが、ただただ一汁一菜がなぜ良いのかを歴史・文化・家庭・健康といった様々な観点から説明している、そんなところに自分は魅力を感じました。
また折を見て読み返してみたいと思います。